もともとはダビングして見せることで呪いの円環を切ることができない人情ホラー。
誰かに見せることで呪いが解けるという、ネット環境によって拡散されることのなかった貞子。
ビデオを見たお客様に感想のお伺いを即座にかけなきゃいけないのだけでも大変なのに、
みんなが閲覧できる状態になっちゃった呪いのビデオだもんで、1週間1殺、というスパンでは活動できなくなった貞子。
どんどんクライアントの要求が過剰になってきたので本来のお客様対応ができなくなった弊社のような貞子。
貞子大忙し。
残酷なご主人様に惨殺された伽倻子、違う、伽椰子(変換してくれないのだよ)。
血だらけ伽椰子。白塗りパンツボーイ俊雄、伽椰子の息子。
強い恨みを抱いて死んだものの呪い、呪怨。
死んだものが生前接していたものや場所に蓄積され業となる。
思いのこもったマイホームに土足で入り込み不逞の輩をバッサバッサとなぎ倒す逆恨みホラー。
そりゃね、土足で入り込まれたら怒りますよ。
人間同士が諍いをおこいているうちに漁夫の利でパクリ。そんなシチュエーションありますよね。
今回のさだかやは、AVPよろしく呪われちゃった二人を助けるために奔走する大学教授と、
突然現れた霊感ブラックジャックたちの力を借りながらかわいいJKとJDが阿鼻叫喚。
見所は玉城ティナさん演じる女子高生が、学校ではさらさらストレート、普段は若干の天然パーマ。
ハーフで顔立ちがとてもいいのに自分のくせっ毛だけはスコチコンプレックスなの、て妄想。
ジャパニーズ霊能力者たちがすべからく厨二出会ったことが、諸手をあげるポイント。
諸手を上げた手を、貞子の超越した強さに静かに下げるしかなかったのだけれど。
だって。貞子、強い恨みを持って殺された元・劇団員なんだもの。
ちょっとくらいの風邪とか骨折ていどでは弱音を吐かない劇団員ですから。それは強い。
さて、それでは予告編をご覧いただいたのちに、ネタバレを含む感想をちびちびとして参りますね。
ネタバレしますんで!ネタバレ!
まずは二人の主人公。「桐島、部活やめるってよ」で超高校生級の美しさでスクリーンを席巻した山本美月さん。
友人の、御身内のために結婚式の時のVHSをDVDかなんかに焼くという事を手伝わされる。
ダビングするためにリサイクルショップに行って古臭いデッキを購入しその中に入っていた呪いのビデオを見て、
その友人が呪われる!本人電話がかかってくるかしてぽやーんと映像を見損ねて回避!
ビデオ再生したの本人やのに、そらないわと佐津川愛美さん(「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」よかったです)。
ここで僕が物申したいのは、やっぱりビデオの内容なんですね。
いいんだけど、井戸じゃないんだ。あの時に僕たちが僕たちの真田広之と見た映像じゃないんです。
僕はあの時の貞子さんに会いたかったのだのに。まぁ、それは仕方ないとして。
その、呪いの発動条件って一体なんなんでしょうね。「呪いのビデオを見たら」ってことなんですけれども、
今回僕はこっそりと期待してたんだけれど、「ガワ」だけ見ても呪われちゃって「そりゃないよ〜」って展開。
なんというか、さだかやさんとパンツボーイは何も喋らないからさ、こっちが勝手に憶測すりしかないじゃない。
呪いの家に入っちゃダメとか言われても、家の建屋の中なのか、それとも敷地でアウトなのか、さ。
上空は通過してもいいものか色々こっちはこっちで建屋と思ってたら「敷地もでした〜!にゃー!」って。
そんで、その呪いの家のご近所に引越ししてきた田中美里夫婦。とティナちゃん。
転校生であるにもかかわらず突然二人も友人ができてタロット占いをしてもらえるくらいには社交的なティナちゃん。
近くを歩いているいじめられっ子の小学生に対し、大人が関わるとよりいじめられてしまうかもしれない危険性も顧みず
ゼロ距離で「大丈夫?」って声をかけてくれるや強いティナちゃん。こんなご近所さんが欲しかったよお母さん。
そのいじめられっこ小学生、噂の呪いの家に入れと言われて「1000」数えさせられる。
それにしても本当に最近の小学生って怖いですよね。ランドセルに拳よりもひとまわりもふた回りも大きい石を詰めたり、
喧嘩とかしたことないもんだから相手の痛みも拳の痛みもわかんないもんだから、
いじめられっ子に対して報復でその石ぶつけるの、んで、案の定鈍い音がするんですよね、ゴデュ。って。
そんで、怒ったいじめっ子も、いじめられっ子も土足で伽椰子さん母子の家にずかずかと入っていくんです。
もうあとはAVP状態です。俊雄くん乱獲パーティー。狭いとこ暗いとことにかくするりと小学生を捕まえます。
なんでか僕はここで大爆笑して手を叩いて喜んでしまいました。
ストーリー上巻き込まれキャラだった佐津川愛美ちゃんを救うため立ち上がったのが大学教授。
生徒さんからの学費を巻き上げて、やってる授業が「都市伝説」自費出版で本も出してるみたいだけれど。
好きな研究をしてお金をもらえるっていうんだから、大学教授なんてのはいい職業です。
美月ちゃんが持ち込んだ呪いのビデオを実際に見て、ダビングする。まぁ、そこまではいいですよ。
白ロムDVDに「呪」ってマークを書き込むなんてなぁ、浅はかですよ教授。「祝」と間違えて誰か見ちゃいますよ。
霊能力者さんのツテがあって本当に良かったよ、元・劇団員の呪いなんてそうそう簡単には解けませんからね。
霊能力者の方が本当に良かったんです。「これは、わたしがやんなきゃいけないよ」つって、
3日後までの予約をキャンセルして女性に取り掛かってくれる。
日本の政治家もこのくらいカラダはって矜持持って取り組んでもらわないとですよほんと。
その霊能力者さんが志半ばに倒れた直後に助けにやってくるのが霊感ブラックジャックとピノ子。
人が住まなくなった呪いの家にデッキを持ち込んだはいいが、伽椰子に見つかるまでにビデオを見ろという。
電源確保するところから始めなくっちゃいけないレベルの話をそれはあんた作戦が軽やか過ぎないかい?
「化け物には化け物をぶつけんだよ」っていうもうほんと根拠のない理論。嫌いじゃないけど。
結局ピノ子も最後は泣いてただけじゃねぇか。
それでも、この霊感ブラックジャックの活躍のおかげで救われるもんもあるんです。
あの入り込み具合はとってもいい。あとは靴下が可愛ければ最高だった。
ここまで来てしまったらあとは宇宙からの侵略者に二人とパンツボーイが手を取って立ち向かうしかない。
しかなくない。
リングのシリーズとか、しっかりと人間味のあるドラマティックなところは面白いんですよ。
呪怨にしたって、寂しいから最後は人を呼び寄せてしまう、という。
田中要次さんのお芝居なんかも案外いいんだよ。
二人はモンスターなんかじゃないんです。恐ろしいのは人間の心。
こんな二人にファイトマネーをつかませたKADOKAWAですよ。
きっといじめをしていた少年たちは、重役さんのご子息さんたちなんだろうなって妄想をしていますよ僕。
リング 呪怨